白馬岳と不帰キレットと唐松岳:1日目

【7月20日 白馬岳と不帰キレットと唐松岳:1日目】


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今年の白馬大雪渓には雪の歪みによるシュルント(クレバス)が数多くあって、
しばしば迂回を強いられました


昨年、
蓮華温泉から白馬大池・小蓮華岳・白馬岳・雪倉岳・朝日岳と周遊しました。
その折は大池付近から体調を損ねた仲間同伴の行動になったので、
山頂着が18時になると読めました。
そこで先発隊を送り遅くなる旨の通知を16時前には山荘に届けました。
なのに
「計画が甘い!」
とか何とかの叱責をその隊員は受けたそうです。
予定通りに歩けば15時には到着できる計画だったので妥当です。
前もって体調不良者が現れることを読み解くことなどできないので、
こうしたことってままあるんではないでしょうかね~。
そしてまた最善の方策をとったと思うんですがね~。

今回の当初の計画は栂池からでした。
しかし参加家族の力量を熟慮すると再びの遅れの可能性が浮上してきたので、
「15時前後には行動を終えるべき」
という持論を曲げずに済む大雪渓からのコースに急遽変更しました。


1日目の計画
益子4:00発~壬生SA4:40発~長野IC~オリンピック道路~白馬~
猿倉(1230m)8:00発~白馬尻(1560m)9:00着9:10発~葱平
12:00着(昼食)12:40発~白馬岳頂上宿舎14:40着14:50発~
白馬山荘(2832m)15:10着(泊)

1日目の実際の行動
益子4:00発~壬生SA4:40~猿倉8:50発~雪渓取付10:10発~
葱平12:20着(昼食)13:00発~白馬山荘15:15着15:50発~
白馬岳16:10着16:30発~白馬山荘16:50着(泊)



猿倉荘で遭対協に入山届けを手渡しし状況確認。
「例年より残雪が多く落石も頻繁に起きています。お気をつけて」
「ありがとうございます。白馬を味わい尽くしてきます」

懐かしい山道の草と木の匂い,
林道に差し込む光と乾いた岩を踏みしだく靴底の感触、
そして再びの山道に咲く色とりどりの花々。
このところ栂池や蓮華温泉起点が続き猿倉からは暫らくご無沙汰だったのに、
過去が髣髴として蘇ってきてつい昨日や一昨日のできごとのように思えました。
古希を迎えた今、
初めて山と出会って55年が経ち白馬でショックを受けてからでも50年経ちます。
最後に猿倉から登ったのは8年前のこと(河原側の駐車場なので一部道が違い
ます)だから覚えていて当たり前だとしても、
最初に登ったのは実に半世紀も前のことなんですよ。
その半世紀前のことが鮮明に蘇ってくるんです。
「1時間前に何をしていたか?」
でさえ忘れてしまう現実とのこのギャップ。
人間の脳味噌の中には、
鮮烈な体験を精彩かつ詳細に記録する精密記憶媒体のフロッピーディスクと、
それこそが自分自身とも言える曖昧なディスクとが共存しているようですね。


キヌガサソウやサンカヨウが群れ遊ぶ白馬尻でアイゼンを装着。
大雪渓への1歩を踏み出します。
今年の大雪渓は異状です。
4月までの積雪量が少なかったと同様以降の降雨量も極端に少なかったので、
雪解けに歪みが生じ横に斜めに数多くのシュルントを造っているのです。
なので雪渓中央のほとんどは歩くことができず、
落石の危険性が高い右岸寄りを歩かざるを得なくなっています。
こんな状態は初めての経験です。

「喉が渇いたのでここで水を飲んでもいいですか」
「ここでは危ないな~。あと10分ほど上のほぼ安全な場所まで我慢して」
とその時
「ラク~~~ッ!!!」
右へ左へとサッパリ行方の定まらない直径30cm弱の岩が、
「ラク~~~ッ!」
「ラク~~~ッ!」
と叫びながら逃げ惑う真っ只中を吹っ飛んでいきました。

そのほぼ安全と思われる場所に松本県ケ丘高校山岳部(部員10人
(内女子1人)と先生1人顧問1人)の12人が休んでいました。
鑓ケ岳山頂からスキー滑降するという63才の顧問と顔を見合わせてニヤリ。
「山を知ってる人間ならね・・・・・ん・ん・ん!」
言葉にせずとも以心伝心心から心に伝わるのです。

葱平(ねぶかっぴら)少し手前から10人だけ先に進んでもらうことになりました。
私の思いは杞憂でも取り越し苦労でもなく現実のものとなってしまったのです。

顔面も唇も蒼白で目眩がする・・・、
腹痛もあって胃に落とせるものは真水しかない・・・、
状態。
本人は足は重くないと言いますが体が言うことを聞かないようです。
「どのような状況になってもズ~ッと着いているから落ち着いて・安心して」
と言いつつも、
家族の後姿を見送らなければならない当人の心痛をおもんばかると・・・
私も辛い。
「ちょっと遅れると思うけど山荘で待ってて~!キット登っていくからね~!」
「ガンバレよ~!先に行くけどみんな待ってるからね~!」
小雪渓をトラバースしていく10人の安全を遠く見届けると2人旅になりました。


その場所からは崩壊が激しい杓子岳と杓子尾根と天狗菱が望めます。
丁度通りかかった遭対協の隊員に話しかけました。
若い隊員は天狗菱のことを知りませんでしたが、
話題が進む内にこここそが2011年4月29日の雪崩現場だと教えられました。
「ここが岳人としてブロガーとして尊敬し続けた三〇〇ン終焉の地?」
途端に涙が溢れ嗚咽が漏れ、
次第に人目もはばからない号泣となっていってしまいました。
2~3分も手を合わせて泣き続けたでしょうか。
ようやく泣き止んで歩きだしても、
時々むせび泣いては葱平のお花畑に幾粒もの涙を落としてしまいました。
その涙が花飾りの真珠となってくれればいいのだけど・・・。


葱平を彩る花々と戯れつつの鈍足ながらもようよう避難小屋を過ぎ、
白馬岳頂上宿舎が真上に見えてきました。
真上に見えるということは勾配がキツイからに他なりません。
その坂を家族の1人が降りてきて奪い取るようにザックを背負ってくれました。
これこそが、
私が他人同士の山集団を恥ずかしげもなく「雨巻家族」と呼びならわしている
「心の絆」そのものなんです。

大した遅れも見ずにみんなが手を振って迎えてくれる白馬山荘に着きました。
部屋は1号棟1号室とか。
そのザック搬入も靴紐を緩めて待っていてくれた家族にお願いし、
全員揃って山頂へ!山頂へ!
足元にはウルップソウに代表される花々たちの出迎えがあり、
眼下には富山市外と富山湾と能登半島の爽快な広がりが認められ、
300度の展望と剱岳から鹿島槍ヶ岳にかけての60度の雲の歓迎がありました。

家族あるいは山仲間あるいは花々に語りかけながらユックリ頂上を目指します。
左右に目をやりながら時々振り返ったりもします。
毛勝三山(毛勝山(2414.4m)・釜谷山(2415m)・猫又山(2378m))が
既に雲を割っていて、
先週私たちを受け入れてくれた剱岳(2999m)も天辺を覗かせ始めていました。


混雑する山頂に到着しました。
誰も彼もがニコニコ笑顔。
次々に記念写真の撮りっこ。
空は蒼いし、
視界はほぼ360度に広がってきたし、
人間は温かいし、
ここには何の不満などありません。
極めて平和なサミット(頂上)でした。

「オ~イッ、何で降っちゃうんだよ~、佐渡島が見えてるよ~!」
峰が尽きた付近には親不知らしき海岸線が地平を限り、
柏崎らしき白い建造物群の左上には紛れもない佐渡島が浮かんでいました。
佐渡島は利尻島と同じように「島」でありながら「山」そのものなんですよね。


ちょっとしたアクシデントはあったけどトラブルらしきものはなく、
「ビバ・アルプス!第3弾:白馬岳と不帰キレットと唐松岳:1日目」
は穏かに暮れていきました。

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白馬に入る手前でバスを停めて見入った白馬三山

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白馬尻小屋。このすぐ上から大雪渓が始まります

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アイゼン装着。緩まぬよう引っかけたりしないよう確実に!

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サンカヨウ(山荷葉)

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キヌガサソウ(衣笠草)。大群生地と説明した割には少なめでした。ウ~ム!?

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同上

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さあっ、大雪渓と仲良しになって登りましょ

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大雪渓を行きます

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同上。いたるところシュルントだらけ

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同上

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同上

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比較的安全な場所まで登って休憩。右隣には松本県ケ丘高校山岳部の面々

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大雪渓を見下ろし頚城や戸隠の山々を望みます

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葱平(ねぶかっぴら)上の小雪渓のトラバースを見守ります

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背筋を伸ばしシッカリ歩いているみたいですね

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アイゼンを装けてトラバースしたんですね。後続の2人は時間稼ぎのため・・・・・

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白馬のマッターホルン?天狗菱。この付近で雪崩の説明を聞きました。嗚呼・・・

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ようやく避難小屋まで登ってきました


一息ついて、
葱平や宿舎下の花たちを紹介することにしましょう。
重複して紹介する花が多々あるのは家族から寄せられたものも含まれるから、
そして個人的に好きな花だからです。

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ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花)

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同上。花々が励ましてくれるからがんばって歩けるんだね

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同上。同上

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テガタチドリ(手形千鳥)?

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イワオウギ(岩黄耆)?白馬岳にはシロウマオウギもリシリオウギもあって
チンプンカンプン

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イブキトラノオ(伊吹虎の尾)

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ミヤマオダマキ(深山苧環)

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同上

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ミヤマクワガタ(深山鍬形)

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同上

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ハクサンイチゲ(白山一花)

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同上

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シナノキンバイ(信濃金梅)

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同上

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同上

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同上

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ハクサンフウロ(白山風露(路))

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シロウマタンポポ?(白馬蒲公英)それともミヤマタンポポ(深山蒲公英)?

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ヨツバシオガマ(四葉塩釜)

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ウルップソウ(得撫草)と杓子岳

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ウルップソウと鑓ケ岳

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宿舎下登山道脇の花たち

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クルマユリ(車百合)

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ムラサキタカネアオヤギソウ(高嶺紫青柳草)別名タカネシュロソウ(高嶺棕櫚草)

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チシマギキョウ(千島桔梗)

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コマクサ(駒草)

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シモツケソウ(下野草)


もう1度登山道に戻ります。

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白馬岳山頂へ

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振り返ると剱岳が

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白馬岳山頂にて





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この記事へのコメント

和子&徹也
2013年07月24日 18:18
デイダラボッチさん 皆さんお帰りなさい。
それにしても凄いですね~。
展望も花々も実際に見てみたいですよ~。
ハッチャンも頑張って登れて良かったですね。
あ~行ってみたい。
第2段も楽しみにしてます。
2013年07月24日 19:16
和子&徹也さん、こんばんは。
日光白根山はいかがでしたか?
私たちの白馬岳・不帰ノ嶮・唐松岳は先ず先ずの
天気と展望と花々に恵まれ、満足満足でした。
26日午後からの南ア南部(荒川三山と赤石岳)
でも3拍子揃ってくれることを願わずにはいられ
ません。
そうそう2日目は写真が多すぎるので、前半と後
半に分けてアップしようかと考えてます。
天気が良すぎるとそれはそれで困ります(笑)
のんびり夫婦の山遊び
2013年07月25日 22:57
デイダラボッチさん、こんばんわ!
同じ日程で北アルプスを歩いていたんですね。
お互い眺望と花々を共有できた最高の山行と
なりましね。
私達も白馬三山も候補に上げていましたが、
以前に白馬岳を歩いていましたので、双六岳
としました。お陰さまで、笠ヶ岳をプラスし、
最高の山遊びとなりました。
後半の不帰ノ嶮・唐松岳のレポも楽しみです。
2013年07月26日 01:00
こんばんは、いや、お早うございます。
明日出かけてしまうので今までかかってレポを
仕上げました。日中は雑用が多すぎて・・・。
急勾配の雪田歩きとか笠新道の下りなどで苦労さ
れたようですが、相対的には◎の山でしたね。
私も今回は◎でした。
次もいい山旅を!

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