霞沢岳と上高地クラシックルート:2日目

 【7月8日 霞沢岳と上高地クラシックルート:2日目】

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快適な一夜をお世話になった徳本峠小屋にて


7/8(月)
小屋3:00発~ジャンクションピーク(2428m)3:55着4:00発~朝食~
K1ピーク6:55着7:00発~霞沢岳(2645.6m)7:35着7:50発~
小屋11:10着(昼食)11:45発~ちから水12:15着12:25発~
岩魚留小屋13:35着13:50発~二俣15:50着16:00発~
島々17:20着17:30発~入浴・夕食~益子24:00着



雨具・スパッツ・ヘッドランプ・手袋・ストックは身に着けているので、
サブザックに飲料・食料・嗜好品・薬品など最小限のものを詰めての出発です。
漆黒の闇夜を照らすLEDランプ特有の細くて遠くて青白い光。
その2ヘーベ(㎡)の輪をキラキラよぎるのは雨粒と雫だけ。
さすがのポジティブ家族も葬送行進状態?
ただ寡黙にスイッチバックを繰り返すのみでした。

50分でジャンクションピークを乗っ越した途端、
この登山道の特徴の木の根坂・薬研堀、水溜り、ぬかるみが始まります。
味気ない針葉樹林の道はアップダウンを繰り返しながら小湿地へ。
2時間近くも歩いていながら標高的には100mちょっとしかアップしてません。
「景色があればまだしも、今日は根比べの山歩きだな~」
と誰か。

K1ピーク手前の広葉樹林のトラバース道に安息の場所を見つけたので朝食。
酢のよく利いたいかにも山小屋らしき特製五目御飯でした。

ここからは草付急斜面や沢形の脇を登ったり残雪をトラバースしたりする険路。
ところがところがその界隈は、
予想だにしていなかった花々たちの住処だったのです。
草むらをしとねにした黄金大輪のシナノキンバイ群舞。
自分自身で緑に敷き詰めた沢形に君臨する貴人の冠キヌガサソウ大群落。
密やかに秘めやかにうつむく褐紫色のクロユリちらほら。
ハクサンイチゲ、サンカヨウ、カラマツソウ、コバイケイソウ、ゴゼンタチバナ、
ジムカデ、キバナシャクナゲなどの白い仲間たち割拠。
コイワカガミ、コケモモなどのピンク系妖精たちの大見得。
景色のない分私たちは彷徨うがごとく桃源郷を堪能し尽くしたのでした。

穂高の景色が素晴しいはずのK1ピークで雄たけび~!
山頂直下のシャングリラで再び溺れまくって55分遅れでサミット到着~!
当然のことハイマツと慎ましやかな標識だけの山頂だったけど
「ヤッタネッ!」
と満面の笑みを交わします。


淡々と往路を戻りました。
最大目的だった穂高ビューには恵まれなかったけれど、
花たちからの大歓待を受けたので湿った登山靴も軽く感じたほどでした。
悪路も手伝ってか1時間10分もの遅れをみていたので小屋で昼食を摂りました。
そして温かいもてなしに礼を述べてから再び下りのクラシックルートに突入。

島々谷側の道の造りは如何にも牛馬が通った道らしく地形に素直です。
スイッチバック一つをとっても4足歩行用に丸みを持たせてある
(2足歩行の人間だけが通るのであれば鋭角でも事足ります)ので、
牛馬往来の様子が彷彿として蘇ってくるのでした。
「山中には馬子唄や民謡が響いたんだろうな~・・・」
「自由気ままに振る舞える放牧地に向うのは牛馬にとって楽しみだったろうな~」
「久しぶりに我が家に帰る戻り道も嬉しかっただろうな~」

30分で「ちから水」。
その名称に恥じないだけの冷たく美味しく力みなぎる水でした。

「ちから水」から僅かに下ると島々谷南沢にぶつかり直角に左折します。
この辺りから峠沢の大きな沢形から顕著な沢沿いの道に変わるとともに、
街道とも言える往時の道の面影は徐々に薄れていきます。
多分大水の度に道が崩され・流され・洗われ、
その都度2足歩行の人間用にのみ修復が成された結果なのでしょうね。

南沢には岩魚留ノ滝が轟音をとどろかせています。
隣り合わせの南沢左岸には急峻な流れの岩魚留沢が落ち込んでいます。
これでは渓流の王者岩魚でもこれ以上の遡上は不可です。
う~ん!ピッタリな名称!なる程納得!
その傍には高村光太郎や千恵子の記述に登場する桂の大木が健在です。
役目を終えて破れ小屋と化した岩魚留小屋には哀愁が漂っています。


ここは島々谷側クラシックルートの内まだ3分の1地点。
林道終点の二俣まででも相当な距離があり、
崩壊地があり、
破れ橋渡りや水流飛びもあるので油断は禁物です。
でも本当に危険な場所には橋や渡り廊下が設置され安全は担保されています。
何とありがたいことだろうか!
このクラシックルートを後世に残すために、
環境省・長野県・松本市が三位一体力を合わせてくれていることに感謝感激。


兎にも角にも、
営々と自然の営みを保ちながら人間社会のささやかな営みをも受け入れてきた
寛容な森を抜け、二俣に着きました。
その後に続く道は文明の利器によって拓かれた林道。
いっ時とはいえ私たちを過去へと誘ってくれたクラシックルートともここでお別れ、
フィナーレです。

温泉に浸かり夕食をいただいて帰路に就く私の脳裏から、
梓川右岸の幽玄無比の湧水の森、
真心という名の料理と温もりという名の寝床、
孤高の霞沢岳と人知れず咲いては散る輪廻の花々たち、
クラシックルートの居心地のよい佇まい、
雨巻家族が交わしあう笑み、
の鮮明な映像が薄れることはありませんでした。

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真っ暗闇を突いて出発

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薄暗闇で第1キヌガサソウ発見!?

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雪が消えたばかりの沢形を多い尽くすキヌガサソウ

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同上

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夢中になって花を撮ります

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嬉々として登ります

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思いがけなくもクロユリを散見

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再びのキヌガサソウ群生

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オオヒョウタンボク:クロユリと違っていい匂いがします

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ナナカマド

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コケモモ:小さい身体なのでみんな寄り集まって大見得

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コイワカガミ:低地から高地まで幅広く分布していて頻繁に逢えるのに、何故か
心ときめくんだよね~この花色は

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K1ピークへの登り

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急坂を登ります

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キバナシャクナゲ。ハクサンシャクナゲも見られました

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コバイケイソウ群生

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シナノキンバイとハクサンイチゲの両巨頭

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シナノキンバイ:この花を見つけるといつも「あっ!」と声を上げてしまいます

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同上

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ハクサンイチゲ:ハクサンという名前を冠された花の中でもトップクラスの存在感

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雫が重そうなショウジョウバカマ

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コバイケイソウ

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ハクサンチドリ

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霞沢岳山頂(2645.6m):ただでさえ孤高の峰なのに今日は輪をかけて孤高。
バンザ~イッ!ガンバッタネッ!ヤッタネッ!穂高は見えなかったけど心に霞なし

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雲の真っ只中を雪を踏みつつ下山

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またまた逢えたねイチゲちゃん

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またまた逢えたねシナノちゃん

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イワウメ:遅くなってゴメンネ

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ゴゼンタチバナ:同上

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またまた逢えたねクロユリちゃん。黄色いシベがキレイだったんでス〇〇トの中
覗いちゃった!ゴメンナサイ

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♪ク~ロユリ~は恋の花・・・、なんて、知らないよね~

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サンカヨウ:透き通った花びらに花たちの儚さを感じてしまう・・・

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またまたまたキヌガサソウ

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ニッコウキスゲ:まだ咲き初めのようで蕾はたくさん見かけました

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エンレイソウ

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ベニバナイチゴ

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ミネザクラ

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穂高は結局1度も見えませんでした

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ちから水

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ここを通行する人は極めて少ないだろう(霞沢岳ゼロ、小屋で計4人、クラシック
ルートもゼロ)に、よく手入れされていて感謝

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島々谷南沢の岩魚留ノ滝。すぐ左手から岩魚留沢が流れ込んでいます

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岩魚留小屋の歴史の香りふんぷんの看板

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岩魚留小屋にて

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岩魚留小屋にある分かりやすい標識

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岩魚留小屋から右岸に渡ります

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エビネ

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クルマバツクバネソウ

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クルマユリ。他にセンジュガンピ・ギボウシなどなど

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破れ橋

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崩壊斜面の通過度々

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クラシックルートには丸太橋・瀬戸上橋・瀬戸下橋・戻り橋・行き橋・渡り廊下など
お金と労力と善意とが注ぎ込まれています。感謝しつつ歩かなければ!

*このブログでは家族が記した記録や写真を使わせてもらっています。感謝!*

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この記事へのコメント

セとナ
2013年07月11日 17:33
こんにちは。
これ程のキヌガサソウの大群落は見た事がありません。
素晴らしいですね。
雨に濡れたお花は本当に美しい!
一年掛けて咲いたお花達は
沢山の人に見てもらいたいだろうに・・・
雨巻家族の皆さんに見てもらって最高の笑顔♪
いつか歩いてみたいです。

2013年07月11日 19:25
セとナさん、こんばんは。
白馬尻の大群落はよく知られているし何度も目に
しているけど、予想だにしていなかった場所での
出逢いは嬉しさを越えるものがありましたよ。
あの花たち・・・何人に見てもらえるのかな~?
yamasanpo
2013年07月12日 08:17
キヌガサソウ、クロユリまで花の多い山ですね。
麓から見る限り花の山には見えませんでしたが。
雨巻家族パワーは凄いものですね。
自分はこのところの暑さにグッタリです。
石川@
2013年07月12日 10:06
おはようございます。
柏原新道かなと間違うぐらいのキヌガサソウですね。
自転車操業になってしまったので、レポを3回程サボったら、知っている方からは確信犯と言われ、その他の方には体調不良と心配され、お騒がせしております。
ヒサシゴーロ・・・デジカメ電池忘れ
浅間隠山・・・GPS電源ONにせず
会津駒ヶ岳・・・これは確信犯です
どーも、立て込んで来たり目的の物が見つからないと、本性が出てサボってしまいました。
2013年07月12日 11:47
yamasanpoさん、こんにちは。
岳沢のテン場、そしてジャンダルムへの途次に目
にして「登山意欲をそそる山だね」と語り合った
のはついこの間だったけど、その後2度も訪れる
ことになろうとはね~!花で満足は覚えたけど、
ちょっとでもいいから天狗のコル・ジャンダルム
・ロバの耳・穂高連峰を眺めたかったが本音。

私も内輪もめ・不眠症・腰痛と、精神的・肉体的
不調が続いているのでちょっと憂鬱。それと明日
3時発で剱岳、20日4時発で不帰キレット、
26日15時発で悪沢・赤石、その後もズラ~ッ
と並んでいるので金銭的な負担も相当な重荷にな
ってきてます。悲しきかな、年金暮らし。
2013年07月12日 12:10
石川@さん、こんにちは。
何度[haretara]を開いても[kumotteru]!?
そんなことってありますね。
個人的なHPは義務じゃないけど、レポを期待し
て待っている人が大勢いることを思うと、使命感
みたいなものに苛まされることがあります。
私の場合は(本来やってはいけない)通信手段と
しても利用しているので尚更です。

ハクサンコザクラどうだったのかな~?
決して催促ではありませぬ!!
ぶなじろう
2013年07月12日 20:41
今晩は。
本コース、いつかは行かなければと思いつつ、いつしか忘却し、今日に至ってしまいました。
思い出させて頂きました。
数年のうちには行ってこよ~っ。でも14時間歩きはいやだなぁ~。岩魚留に泊まるのも悪くないなぁ~。な~んて、考えてしまいました。
和子&徹也
2013年07月15日 17:30
デイダラボッチさん 霞沢岳花の山ですね。
キヌガサソウ、クロユリ見てみたいですね。
yamasanpoさんのレポ見てたらキスゲ見たくて、12日に休暇を取って流石山に行って来ました。
徹夜で車運転して登ったら心臓の動悸が激しくて、大倉山の直近から引き返しました。
そして、マダニに刺されて病院に行って大変でした。
8月18~19日奥穂高   のんびりのびのびの芋虫
2013年07月15日 20:54
行きたいですが実力、体力が経験不足で不安です。
どうでしょうか?
2013年07月16日 05:48
ぶなじろうさん、おはようございます。
13・14・15日と剱岳と立山に出かけていた
のでコメントの反映が遅れてしまいました。
雪々々・大風・大雨・みぞれ・そして最後に夢の
ような世界との対面という、デイダラボッチらし
き波乱万丈の山旅でした。
霞沢岳とクラシックルートなんてぶなじろうさん
にとってみれば屁のようなもの。私たち初心者グ
ループのタイムの70%ほど見れば楽勝です。
因みに、定期バス停留所のある島々支所は、
「松本市の財政は上高地で成り立っている」との
理由で、年間を通して駐車開放だそうです。
2013年07月16日 05:58
和子&徹也さん、おはようございます。
じぇじぇじぇ!それは大変でしたね~。
その後の心臓の動機とマダニ後遺症は・・・?
私も沢足袋を買ったので井戸沢からの流石山を
考えてましたが、豊富な水量と豊富な?マダニ
では二の足を踏んでしまいます。
養生ください。
2013年07月16日 06:14
のんびり夫婦の山歩きさん、おはようございます。
金峰山に出かけてきたんですね。
眺望はイマイチでも天気がよくて何よりでした。
私たちの剱岳&立山三山はまたしても自然からの
試練を受けました。と共に最高のご褒美も!
霞沢岳とクラシックルートは多少の体力は必要だ
けど、経験とか実力は関係ありません。徳本峠小
屋2泊で計画したならそれはそれは思い出に残る
山旅になることでしょう。
のんびりの芋虫です
2013年07月16日 16:10
デイダラボッチさん、こんにちは
15日の奥穂高のコメントは私です。参加したいのですが難ルートなので心配なのです。ゆきた~いですね
2013年07月16日 20:34
芋虫さん、こんばんは。
今日は入れ替り立ち替り9人が寄ってくれたの
ですが、ジャンダルム希望者が数人いました。
本人が不安がっている上私自身も「大丈夫!」
とまでは言い切れない「安全と危険との瀬戸際」
な場所だけに頭が痛いです。
一歩間違えれば死に直結する難コースであること
は疑いようもなく、どうしても「責任」の二文字
が脳裏を過ぎってしまうのでね。
テント2泊やザイル確保など、要望に応えられる
方策は模索してるんですが、今現在は何とも返答
できない状況です。ご理解ください。
和子&徹也
2013年07月17日 20:43
デイダラボッチさん ここの処徹也は虫に好かれてるみたいです。
和子は美味しくないみたいです。
動悸は軽い熱中症かもしれません。
マダニは病院で処置して無事に59歳の誕生日を迎えました。
芋虫です
2013年07月18日 08:13
昨日、近所の人と4人で桧枝岐から尾瀬に行きました。
キスゲは沼の近くの三叉路付近で群生していましたが他はほとんど見かけないほど少なくなっていましたよ。
奥穂高の件ですが理解しました。
2013年07月18日 12:20
和子&徹也さん、こんにちは。
ジェジェジェ!
マダニが美味しい肉と不味い肉とを選り分けて喰
いついてるなんて初耳です。
ジェジェジェ!
徹也さんがまだ50代だったなんて・・・。
羨ましいな~。
ちょっと悔しいけどオメデト~!
2013年07月18日 12:31
芋虫さん、こんにちは。
これまたジェジェジェ!
キスゲよりももっとカラフルな雨巻家族5人が
竜宮付近をワアワア、キャアキャア、ドタドタと
歩いていたんだけど気付きませんでした?
奥穂高岳?
奥穂高岳や前穂高岳に限定すれば何ら問題なし。
今悩んでいるのはジャンダルムとロバの耳と
馬ノ背。もう少し考慮する時間をください。

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